弟系男子が『弟』をやめた時。
「え…何?」
いきなり名前を呼ばれて戸惑う私。
眞樹原はそんな私のそばに屈んで
私の目を覗き込んだ。
上目づかいで黒目がち、
思わず吸い込まれそうな瞳で見つめられ
一瞬、心臓が跳ね上がりそうになる。
「…。」
え、何?この時間。
お互い見つめ合ったままで数秒流れた
静寂の時間。
その静けさを打ち破ったのは
眞樹原のこの言葉だった。
「俺、永澤より似合うくない?」
「」
思わず食べかけの卵焼きを床に落とす。
ボトッと落ちた音を合図に
皆は一斉に爆笑した。
「永澤ーっ!反応よすぎ!」
「リアクション芸人かよお前っ」
「稟マジ正論な」
ゲラゲラと皆が笑う中で
眞樹原は超絶生意気な顔で笑ってくる。
本当、腹立たしい奴─────
私が眞樹原が嫌いな理由、
『私だけ』に妙に突っかかってくるから。