失恋のち恋
「ひなちゃんの手、冷たい……」
「俺があっためてあげる」
勝手に私の手を取り、自分の手を交差させる。
所謂、恋人繋ぎ……
「ねぇ、ひなちゃん!ひなちゃん!」
「もう、なによ!」
彼の方へ振り向いた瞬間、触れる柔らかな感触……
彼に唇を奪われた。
一旦、脳が思考を停止する。
「ごめん。嫌だった?」
申し訳なさそうな彼の表情が今井くんと一致した。
彼と交わした行為が脳裏をよぎる。
「もっと、して」
再び塞がれる唇。
消して……
消して……
今は、まだ思い出したくない。