失恋のち恋
「やっ……」
息継ぎの一瞬の隙を見て、やっと声を出せた。
彼はその声に、ハッとしたような表情を見せる。
「ごめん」
拘束されていた腕も解かれる。
黙り込んでしまった彼。
「……お前がこうなったのは俺のせい?俺が振ったから……俺が抱いたから……」
“それは違う!”
声を出そうとも、先ほどの恐怖で肝心の声がでない。
「今更、遅いかもしんねぇけど、お前のこと好きだよ」
ずっとずっと聞きたかった言葉。
けれど、一生聞くことはないと思っていた言葉。
じわじわと目に涙が溜まってくる。