月夜に願いを…
「…ハハハ。お前、本当に吸血鬼じゃないみたいだな。」
クーラのわき腹からは、大量の血液が流れ出した。
「…まだ…生きてたのか?」
クーラは何とか口を開いた
わき腹の傷は全く癒える様子は無い。
ガク…
「はぁっはぁっ…」
遂にクーラはその場に膝を崩した。
その様子を見た吸血鬼は憎たらしい笑みを口元に浮かべた。
「このままにしていても死ぬだろうが、ちゃんと留めを刺してやるよ。」
吸血鬼はそう言うと右手に大量の冷気を纏った。
カキカキ…
その瞬間、吸血鬼の右手に美しく光る氷の刃が現れた。
「…」
薄れ行く意識の中で最後に見たのは、自分に降り落とされる氷の刃と
そして
深紅に燃え盛る激しい炎だった。