月夜に願いを…
ゴォォォ!!
「!」
自分に向かって凄い勢いで進んでくる炎に気付いた吸血鬼は、両手を前に突きだし分厚い氷の壁を召喚した。
ドォォオ!
炎に直撃した氷の壁は、一瞬にして炎と共に消滅した。
その時に発生した水蒸気に辺りは全く確認が出来ない事になった。
「誰だ!!」
吸血鬼は突然の事に混乱し、其処ら中に氷の塊を放った。
「…死んだか?」
吸血鬼はそう呟き、水蒸気の中で再びクーラを探した。
だが…
「何だお前?」
水蒸気が晴れ、クーラの姿を確認した吸血鬼は、先ほどまで居なかった人物に声をかけた。
「…息はあるな…気絶しているだけか?」
その人物はその場に立ち上がり強烈な殺意を纏った赤い瞳で吸血鬼を睨み付けた。
「ク…」
吸血鬼は、その鋭い眼差しにかなり怯み、後退りをした。
「…お前がやったのか?」
「…そうだ。」
長い髪を靡かせ、その赤い瞳でもう一度吸血鬼睨み付けた。
その人物、ルナは怒りを極限まで抑えた声で呟いた。
「…ならお前は死ね。」