月夜に願いを…


吸血鬼は一層高まったルナの殺意にかなりの恐怖を覚えた。

「ちょっと待てよ!お前吸血鬼だろ??俺達仲間じゃないか!」

吸血鬼のその言葉にルナは鼻で笑ったが、態度とは裏腹に額には青筋が一つ増えていた。

「…俺とお前が仲間?お前、俺を怒らせたいのか?」

「は?…なら、お前はそこに転がっている雑魚と一緒なのか?」


その言葉に、ルナの怒りは遂に最高潮に達した。


「お前はもう喋るな。」

言い終わると同時に、ルナは右手に炎を纏い、吸血鬼に殴りかかった。

ヒュン

だが吸血鬼はその拳を紙一重で交わした。

だが…



ガン!!


「グア!!」


ルナは、殴りかかった勢いで吸血鬼の額に自分の額を思いきり叩き付けた。



吸血鬼は頭から鮮血を撒き散らし、遠く離れた民間の壁に激突した。


「な!?」

吸血鬼は、いきなり起きた頭への強い衝撃が何かも解らず、朦朧とした意識でルナを視界に捉えようとした。

だが、吸血鬼に向かって来る灼熱の炎が目の前全てを埋め尽くしていた為、ルナを視界に捉える事が出来なかった。


「あ゛ぁ゛!!」

吸血鬼は何とか氷の壁を召喚し一命をとりとめた。

だが…

「終わりだ…」


再び辺りに充満した水蒸気の中で静かに声が聞こえた。


水蒸気が晴れて辺りを確認出来る様になったとき。

吸血鬼の背後には、既にルナが立っていた。

「貴様!!!」

吸血鬼は後ろを勢い良く振り向こうとしたが、ルナに頭を鷲掴みにされた為に、その行為は虚しく無意味に終わった。

「…じゃ、サヨナラだ。」

「…ちょっと待っ」

ゴォォォオ!!!


ルナは鷲掴みにした手に、大量の力を込めて、一気に炎を発生させた。


数秒後、そこには頭部の無い吸血鬼の死体が完成した。





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