月夜に願いを…
「…マジかよ?もう四人目だろ?」
話し声はルナ達のすぐ隣の二人組から発せられていた。
「…ふー…」
ルナ達はまるで興味のない様に煙草を吹かしていたが、耳は完全にそちらに意識が向いていた。
「しかもだ」
二人組の一人が手をパンっと叩き、続きを話した。
「最近この付近で赤い瞳の人間を見たと言う情報が多いんだよ…もしかしたら、火の吸血鬼の仕業かもなんだ。」
その話しを聞いた男はぶるぶると身震いを起こし、酒を一口飲み込んだ。
「ったく…吸血鬼狩りは何してんだよ…」
その言葉に男は念を押す様に言葉を続けた。
「まぁ、可能性有りなだけだからな。」
それだけ言うと、男達はポケットから財布を取りだした。
「親父!!勘定頼むよ。」
二人組は、親父を呼び出し、札束を置いた。
「…お客さん、全然足りませんよ。」
親父の言葉に二人は気まずそうな顔をして目を合わせた。
ダッ!!
そして見事にその場から走り出していった。