月夜に願いを…

「こ、コラァ!!待ちやがれ!!」

親父は鬼の様な形相で走り出し、店を出ていった。

その様子を見ていたルナは軽くため息を吐き出し、クーラに視線を向けた。

「…で、どう思う?吸血鬼の仕業か他の何かか…」

クーラは短くなった煙草を押し付け、机に頬杖をついた。

「まっ、十中八九吸血鬼だろ…問題は、どうやって探すか…」

ルナも短くなった煙草を灰皿に押し付け、新しい煙草に火をつけた。

「…ふー…街を探し回るしか無いんじゃないのか?」

ルナは足を十字に組んだ。
緊張感の欠片も見当たらない。

「…そうだな…犠牲者が増える前に見つけてしまうか。」

クーラは大きく伸びをして椅子から立ち上がった。

「親父!!勘定してくれ!!」

親父はタイミング良く息を切らせながら店に戻ってきた。

「くそ!!アイツ等今度は逃がさねぇ!!」


「おいルナ、払ってくれ」

クーラは当たり前の様にルナに喋りかけたが、ルナは頭に疑問符を浮かべた。

「は?俺財布なんか持ってきてねぇし…」

クーラはその言葉を聞いた瞬間に表情が凍り付いた。

「…逃げるぞ…」

クーラは呟く様にルナそう言葉を発した。

「…ああ。」

ルナもその言葉の意味が分かり、クラウチングスタートの構えをとった。

「…悪ぃな親父…」

「?」

二人は疾風の如く早さで店を抜け出した。



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