月夜に願いを…
ピヨ…ピヨ
ルナは心地よい鳥のさえずりで目を覚ました。
「…ん~…」
ルナはベッドの上で大きく伸びをし、枕元にある時計を掴んで時刻を確認した。
「…10時か…」
あれからルナ達は、酒屋の親父から何とか逃げだし、ルナの自宅に転がりこんだ。
そしてすぐにルナ達は布団に潜りこみ、今の状況に至った。
「早く起きちまったな。」
ルナは眠たい目を擦りながら、顔を洗うために洗面所へ向かった。
バシャッ
顔に水を浴びせ、タオルで顔を拭いている時に、ふと鏡に映る自分の姿が目に入った。
サラサラの長い髪、筋の通った鼻、シッカリとした輪郭、明らかに美形の領域に入る整った顔だが、ルナはその自分の顔を見て眉を寄せた。
「……」
正確には普通の人間とは違う、その深紅の瞳に嫌気がさした。
「俺は、本当に人間に戻れるのか?」
例え、圧倒的な力を持っていなくても、例え、永遠に朽ちない肉体を持っていなくても、ルナは人間に戻りたかった。
他人を食い殺さなくても生きていける…
そして、儚くても、短い命の灯火を精一杯輝かせる素晴らしい生物に…