月夜に願いを…

「おはよう。」

ルナは、顔を洗い終え、居間に入った。

居間には湯気が淡くたっているコーヒーを飲みながら新聞を読んでいるクーラが居た。

「おっはぁ!」

クーラは意味不明な挨拶を終えると、再び新聞に視線を向けた。


「…てか、最近お前、あまり血を飲んでないけど、大丈夫なのか??」

クーラは新聞から目を離し、心配そうな視線をルナに向けた。


「…大丈夫だ。」

ルナはそう答えると、クーラの正面のソファーに腰掛けた。

だが、答えとは裏腹に、顔色は悪く、目は虚ろだった。


「…大丈夫じゃねぇな…?人を殺せとは言わないが、ちゃんと定期的に血を飲めよ。」

クーラのその言葉にルナは大きく目を見開き、クーラに怒鳴った。

「血を飲むということは、人を殺すと同じ事なんだよ!!そんな事簡単に出来るか!?」


クーラはその言葉に何の反抗も出来ずにルナから目を逸らした。

「…悪い…」

「…いや、俺も怒鳴って悪かった…」


ルナはそう言うと、フラフラの足取りで冷蔵庫まで歩いて行き、冷蔵庫の中から水を取りだし、喉に流しこんだ。

「…俺、昼間は外に出れねぇから、もう一回寝るよ。」


そう言うとルナは先ほどのソファーに倒れる様に寝転がった。


「じゃあ俺は火の吸血鬼の情報を仕入れてくるよ。」


「…ああ、頼んだ。」




クーラは机の上に置いてあったサングラスを耳にかけた。


「じゃあ、おやすみ。」


クーラは最後にそう言うと、玄関から外に出た。


ルナの閉じた瞳からは、一筋の透明な雫が零れていた。



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