月夜に願いを…
「…あ、ターゲットの居場所は?」
ルナは立ち止まりクーラに振り向きながら答えた。
「この街のどこか…」
その時、ルナの右目がピクリと痙攣した。
「お前バカ?そんな情報で見つけれる訳がないだろ!!」
ルナは眉間に大きなシワを寄せてクーラに掴みかかった。
「しゃあねぇだろ!!吸血鬼に遭遇した奴全員死んでんだから!!」
そう言うクーラの右手もシッカリとルナの胸ぐらを掴み上げていた。
「やんのか??やるんだな!?」
ルナはそう言うと、右手を大きく引いた。
それを見たクーラは一気に顔から血の気が引いた。
「ちょっと待て!そんなん食らったら死んでベグラァ!!!」
クーラの叫びも虚しくルナの放った拳は見事にクーラの頬を捉えた様に見えた。
だが…
「…ちっ…」
ルナは小さく舌打ちをした。
クーラは、吸血鬼の拳を食らったにも関わらず、フラフラだが、その足で何とか立ち上がった。
ルナの右手の拳からは、小さく血が滲んでいた。
クーラは、拳が当たる直前に自分の頬と拳の間に頑丈な氷の壁を召喚していたのだ。
そこは、流石能力Sと言った所か。
だが、衝撃を完全に殺す事が出来なかった為、少量のダメージを受けた様だ。
「…今日は多めに見てやる…次は無いぞ。とりあえず街中探そう。」
ルナはそう言うと再び足を動かし始めた。
「…寝込みを殺るか…いや、血液不足の所を…こう、ザクッと…」
「何か言ったか?」
「気のせいだろ?」
その影でクーラはルナ殺害計画を密かに練るのであった。