月夜に願いを…
街中を探し始めて、何の進展もないまま一時間が過ぎた。
ルナは早くも諦め始めていた。
「…やっぱり情報が少なすぎる…」
ルナは足元に有った空き缶を勢い良く蹴りあげた。
「今日はもう帰って新しい情報集めないか?」
ルナはそう言いながら、円を書いて飛んでいく空き缶を見つめていた。
カラン…
空き缶は虚しい音を立てて地面に落ちた。
「聞いてるか??」
ルナが返事の無いクーラに腹が立ち、声を荒げながら振り向いた。
「…グゥ…」
「クーラ!!」
返事が無いのは当たり前であった。
クーラは見知らぬ人物に首を掴まれ、宙に持ち上げられ、非常に苦しそうな表情を見せていた。
「…お前らだろ?俺の事を嗅ぎ付けてる奴らって?」
その人物はクーラを持ち上げたままルナを睨み付けた。
「…」
ルナはその視線に恐怖を覚え、少し身を引いた。
その人物は赤い短髪をワックスでツンツンに立て、頬には、古い切り傷があった。
更に身長は異様に低い。
ルナ達が追い求めていた人物の特徴と寸分の狂いなく一致した。