月夜に願いを…
ルナのその小さな呟きを聴覚が発達しているランスは聞き逃す事は無かった。
「何がだ?」
ルナは顎に手を当てながら最後に頭の中を整理した。
「…多分だが、きっと違う所で俺達が出会っていたら必ず手を組んでいた……俺達が手を組むと何が来ようとランスの戦闘能力で研究が妨害される事は無いだろ??ここから考えるとだ…ソイツは俺達では無く、この研究を邪魔に思っているんだ。そうなると犯人はだ、吸血鬼を減らしたくない、下手すると俺達とは逆に人間を吸血鬼にする方法を研究しているかも知れない……」
クーラはその答えに納得した様に頷き、ルナに質問をなげかけた。
「…だが何で吸血鬼を減らしたく無いんだ??ってか犯人はわかったのか??」
クーラのその言葉にルナは軽くため息をつき、首をゆっくりと横にふった。
「…わからない……だが相手は吸血鬼の可能性がかなり高いだろ。」
ランスはその質問の答えに少し青筋を浮かべルナに怒鳴った。
「肝心な所がわかってねぇじゃん!!」
「…いや、そこまで解れば十分だろ、犯人はこの研究をさらに邪魔しようとしてその内に自ら現れるだろ。犯人の今回の作成は失敗した様だしな。」
クーラは額に手を当て思考をしながらそう答えた。
「とりあえず、これから宜しくな!!ランス!」
クーラは額に当てていた手をランスの前につぎだした。
「…おう!宜しく!!クーラにルナ!!」
背の低いランスはそのクーラの手のひらを必死に背伸びをしながら掴み握手を交わした。