月夜に願いを…
秘めた力
「…んあ?」
「おっ気付いたか?」
ランスは、ゆっくりと瞼を開けると、そこには見知らぬ光景が広がっていた。
「ここは、クーラの研究所だからな、ゆっくりとしとけ。」
ルナがランスが思っているであろう疑問に、質問される前に答えた。
「おい!何でお前がそんな事言えるんだよ?ここは俺の研究所だぞ?」
クーラはそうルナに文句を言いながら、ドアを足で開けて部屋に入ってきた。
両手には、お盆が乗ってあり、その上には、おそらくコーヒーである液体が湯気を立てている。その他に何か分からない紫色の得体の知れない液体が乗っていた。
「細かい事は気にするなよ。」
ルナはお盆の上のコーヒーをクーラから受け取り、さっそく口に含んだ。
ほろ苦さの中になんとなく甘さがあるような味が口内に広がった。
「…おっ?サンキュー!」
ランスもお盆の上のコーヒーを受け取ろうと手を伸ばしたが、その手はクーラにはたかれた。
「痛!!何す…」
ランスはクーラに向かって悪態を付こうとしたが、言葉を完全に吐き出す前に、何かを目の前に差し出された。
「…ナニコレ?」
ランスは目を点にして、片言で言葉を吐き出した。
その反応も無理は無い。
それはコーヒーの他に乗っていた、紫色の毒々しい液体であった。
「…ズズ…お前はそれを飲んどけ。」
クーラはランスの取ろうとしていたコーヒーを口に流し込みながら、そう答えた。