月夜に願いを…
「俺はなぁ、簡単に言えば半分吸血鬼だな。」
ルナはその答えに、驚愕の表情をみせた。
「どういう事だ?」
「そのままだよ。俺は身体能力も人間並み、不老でもない、血が欲しいとも思わない。ただ、氷を自在に操れるくらいだな。」
そう言うと青年は近くの草をちぎり、それに冷気を纏わせた。
カキ…
その瞬間に手の中の草は表面に氷を纏った。
「…多分、俺の身体は完全に細菌を受け付けなかったんだろ。」
「…へぇ。」
ルナはその青年を羨ましいと思った。
血に飢えない…
これは、ルナが吸血鬼になった時から憧れていた事だ。
「…俺はこの身体を使って吸血鬼を元の人間に戻す方法を探している。」
突然の呟きにルナは青年に振り向いた。
「だからな、そんなに落ち込むなよ!直ぐに俺様が元に戻す方法を考えてやるからよ!」
ルナは、青年のその言葉に酷く感動した。
瞳には微かに透明な雫が溜まっていた。
「…お前、名前何て言うんだ?俺はルナだ。」
「俺か?俺はクーラだ。よろしくな。」
ルナは突然立ち上がり、クーラの目を真っ直ぐに見て静かに口を開いた。
「…研究に俺の体を使っても良いぜ。」
クーラはその問いかけに首を大きく横に振った。
「…良いわけ無いだろ!実験に使うのは俺だけで…」
「使ってくれ!!」
ルナはクーラの言葉を途中にさえぎり、叫んだ。
「…お前は体は人間と同じだ。なら丈夫な俺の体を使え。」
ルナの真っ直ぐな眼差しに遂にクーラは折れた。
「…これからよろしくな、相棒!!」
「ああ。」