月夜に願いを…
「ッだぁら!!」
ゴォォォ!
ランスは両手を前に付きだし、ギリギリの所で炎の壁を三人の前に召喚し、何とかその攻撃を避ける事に成功した。
「いきなり何すんだ!?コラァ!!」
ランスは、その不意討ちに完全に頭にきたらしく、額に青筋を浮かべながら、ずかずかと男の前まで歩いていき、左手で男の胸ぐらを掴んだ。
「…その身長の小ささ…君、ランスだね?…強いらしいじゃないか。僕と勝負しようよ。」
男は大して怯む様子も無く、挑発する様な口調でランスに問いかけた。
「上等だぁ!!!」
ランスは、胸ぐらを掴んでいた、逆の右手で男に殴りかかった。
ランスの利き腕の全力の攻撃、並みの吸血鬼なら、その攻撃を目で追う事も出来ない。
だが…
バシン!!
男は左手でその攻撃を軽く叩く事で、右手の軌道をずらし、自分に直撃する事を避けた。
「!!」
驚愕するランスの腹に男は自らの右手の手のひらをピッタリと当てた。
「…覇!!」
その瞬間、手のひらに電気を大量に集め、ランスの腹に雷撃を食らわした。
「ガァ!!」
ランスはその衝撃で後ろにかなりの勢いでぶっ飛び、壁に衝突した。
「グハッハッ…ク!」
「何だ、弱いじゃん。」
男はとどめを刺そうとランスに向かって強力な電気の塊を放射した。