月夜に願いを…


男は、ルナから興味を無くした様に視線から外し、再びクーラに目を向けた。


「…君、再生しないのか?」

男は首を傾げた。

それはその筈、普段吸血鬼は傷を受けると傷の程度に異なるが即死レベルの傷じゃないかぎりその傷は再生する。

だが、クーラの傷は即死に至るには程遠いレベルの傷だった。

「…ざ、残念ながらな…俺は吸血鬼じゃ、…ねぇ…んだよ。」

クーラは途切れ途切れになりながらも、薄く口を開いてそう答えた。

「そっか…まぁ、僕には関係の無い事だね。」

男はそう言うとクーラに止めを刺そうと雷撃を作り出した。

「…まだ君が居たっけ?」

だが、その雷撃はクーラに放つ事はなく、雷撃を纏った右手をそのまま180度回転させた。

バリィババ!!

その雷撃は、真後ろに居たランスに向かって放たれた。

「…甘い!!」

だが、ランスは咄嗟に地面を蹴り、体を右側に移動した。

「シッ!!」

更に、その勢いを利用して体を一気にひねった、その間にランスは右手の拳に炎を召喚し体を捻る勢いを利用し、男の頬にフックを放った。

「…君も甘いね。」

スパァン!!

その瞬間、ランスの意識がぶれ、気が付いた時には、ランスの体は勢い良く宙に舞っていた。





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