月夜に願いを…


男はその言葉に口元を小さく吊り上げ、微笑みを浮かべた。

しかし、その微笑みが強がりから来ている事はまるわかりだった。

「…フン…君はさっきの炎使いか?どんな手品を使ったのか知らないが、姿が変わ…っ!!」

男のその言葉は、最後まで伝わる事は無かった。

言葉の途中にルナの体が不意に消え、一瞬の間に男の鼻の先に姿を表した。

ルナは、その鋭く赤い瞳で男を睨んだ。

その瞳にはもう、慈悲、優しさ、喜び、怒り、などの戦闘に不要な物は映されてはいなかった。

ただ単に、純粋な殺意。

まるで、生き物を『壊す』為に産まれて来た『機械』の様な瞳をその眼球に映し出していた。






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