月夜に願いを…
「…悪いな散らかってて。」
今、ルナとクーラはクーラの研究所に居た。
「ああ。」
何だこれは?
ルナは、棚に並べられた色んな薬品や器具を眺めていた。
「研究はどこまで行ってるんだ?」
ルナは棚を眺めたままクーラに問いかけた。
その問いかけにクーラは呆れた表情をした。
「お前なぁ、話しする時は人の目をみて話せよ。」
「悪いな。」
ルナは大して悪いといった表情もせずに、クーラの目を見て答えた。
「…まぁ良い。」
クーラはそのルナの態度にケチを付ける訳でもなく、先ほどの問いかけに答えた。
「何とか細菌に対する免疫を高める事はできる薬はできたんだがな、消滅させるためには一つ足りない物が有るんだ…」
ルナはその答えに喜びを隠せぬ表情を見せた。
「何だ?さっさく調達しよう!」
だが
「…太陽光。」
その答えに、ルナは喜びの表情から一変に驚愕の表情に変わった。
「太陽光?」
「ああ。まず、薬に太陽光を入れるなんて事は出来る訳が無いだろ、何より危険すぎる。」
太陽光とは、吸血鬼にとっては最悪の敵で、触れるだけで大火傷を負い、長い時間当たると自らの肉体が燃え上がり灰も残らず消滅してしまう。
「…とりあえずその薬を俺に射ってくれ。太陽光無しじゃ、死ぬことは無いだろ?」
「意味無いと思うけど、それでも射つのか?」
ルナはその問いかけに少し思案したが、スグに答えた。
「やらないよりマシだろ?」