月夜に願いを…
「…!!」
ランスは今まで衝撃的な光景に気を取られ続けていた為、クーラの事を完全に忘れていた。
「クーラ!」
ランスは窓際に横たわる、仲間の元に駆け寄った。
クーラの元に到着すると、直ぐ様抱き起こした。
心なしか、少し軽くなった気がする。
クーラの瞼は、完全に閉じてあり、腹には生々しい穴が出来上がっていた、その傷からは、未だに大量の血液を排出していた。
「…クーラ!!大丈夫か!?目を覚ませ!」
その声を聞いたルナは、ただ事では無いと瞬時に判断し、両の足に力を込めた。
「!?」
だが、いくら足に力を込めても、足が言うことを聞かない。
それどころか、腕、体に力を入れる事が出来ず、更には頭を起こし現在の状況を確認する事も出来なかった。
まるで、全身がそうする事を拒んでいる様に。
それは、激しい運動をした後の脱力感に似ていた。
しかし、それと違うのは、その脱力感が今の状況とは比べ物にならない程強いと言う事だ。
ルナは、仕方なく唯一自由に動かせれる、口を動かし、大声を張り上げた。
「ランス!!クーラはどうなっている!?俺の体はどうなっているんだ??」
「お前の体??一体どうしたんだ!?」
質問に質問で返すのは、礼儀としてなっていないが、状況が状況の為、仕方ない。
「体が全く言うことを聞かない。クーラの様子を伺う事も出来ない!!それよりクーラは大丈夫なのか!?」
「…二人して…うる…せぇんだ…よ、腹に…響くじゃねぇか。」
突然聞こえて来た声、その声はランスの物でなげれば、ルナの物でもない。
では、誰の物?
決まっている。
「「…クーラァ!」」
ルナとランスは、一斉に声を張り上げた。