月夜に願いを…
クーラは二人の大声が腹の傷に響いたらしく、眉間の間にシワを寄せた。
「…うっせぇよ!!腹に響くっつてんだろ?」
クーラの威勢の良い声にルナとランスは安心したらしく、ふぅっとため息をもらした。
「…とりあえず、クーラは大丈夫なのか?」
「あぁ。吸血鬼までの再生能力は無いが再生能力が全く無いと言う訳でも無いからな。」
クーラはそう答えると顎で自分の腹を指差した。
クーラの腹は、未だに出血が見られるが、傷口は先ほどまでに大きくは無かった。
それは、少しずつではあるが、傷口が再生している事を意味する。
「そうか。…てか、この場でちゃんと動けるの、俺だけかよ?」
ランスの頬を冷や汗が顎にかけて筋を作った。
顎先から汗が一粒地面に落ち、そのまま弾けた。
「そうだな。…とりあえず俺達をルナん家まで運んでくれよ。」
その仕事はランスの小さな体には、かなりの重労働である。
てか、不可能に近かった。