月夜に願いを…


「はいはぁい!静粛に。」

頃合いを見たクーラは、パンパンと両の手のひらを打ち付けながら二人に呼びかけた。

「はぁはぁはぁ…」

「ぜぇぜぇぜぇ…」

凄まじい勢いで相手を貶しまくった二人は、呼吸もろくにしていなかった為に、今ごろになって肺に酸素を送り込んでいた。

「とりあえず、お前ら今から真剣モードに入りやがれ。」

クーラは、二人が黙ったのを確認すると静かに口を開いた。

「…まず、あの変態金髪吸血鬼は何者だと思う??」

ルナとランスは、互いに目を見合せ、思考をフルに働かせていた。

「お前がこの前に言ってた、研究を邪魔に思っている奴等じゃねぇのか?」

未だに頭を抑えて唸っているランスを尻目に、ルナはそう答えた。

「…十中八九そうだろうな。しかも、俺達の情報の殆んどを確実にアイツ等は持っている。こちらはアイツ等の情報は殆んど無いのに、アイツ等はこっちの情報を殆んど持っている、これ程ウザイ事は無いぞ。多分もう既に俺達が此処に居ることもバレているだろう。」

クーラは額に指を当て、頭脳をフルに活動させて、推理を行っていた。

「これは、もうどうにもならない。それよりこれより先に解明しなければいけない事がある。」

クーラはそこまで言い終えると、ルナにゆっくり視線を向けた。

「お前の異常なまでの戦闘能力の増加だ。」


< 54 / 70 >

この作品をシェア

pagetop