月夜に願いを…
ルナ達は先ほどの部屋を移動して、手術室の様な場所にいた。
そのベッドの上で、ルナは仰向けに転がっていた。
「はぁい!チクッとするけど我慢しようねぇ。」
クーラはふざけた様な口調で話しながら、中に怪しい紫の液体が入っている注射器をルナの首筋に近付けた。
「食い殺すぞ?」
ルナはクーラの空気を読めない発言に腹を立て、思いきり殺気を漂わせた。
「嘘だよ。」
クーラはその事を大して気にもせず注射器を一気に首筋に食い込ませた。
ブスッ
「っ!」
ルナは激痛に一瞬顔を歪ませた。
クーラは慣れた手付きでサッさと液体を注入して針を抜き、首筋にガーゼを当てた。
「終わりぃ。」
クーラは器具を片付けながら、ルナに問いかけた。
「即効性だから、すぐに効果出るはずだが、変わった事は?」
「どうだろ?」
ルナはその場で跳ねたり、指に炎を纏わせたり、ナイフで指を切ってみるが…
「…炎は問題無く起きるし、傷もスグに治る。変化無しか…」
ルナは少し寂しい表情をした。
やっぱり、そう簡単には戻れないか…
「…免疫を高めるだけじゃやっぱりだめか。」
クーラは、諦めた様に呟いた。
「やっぱり別の方法を考えるか。」
その時
プルルルル…
クーラのポケットから携帯の着信音がバイブの音と共に鳴り響いた。