月夜に願いを…
「…」
「…」
沈黙が続く。
やがて口を開いたのはクーラだった。
「…ルナ、お前の力の正体は、お前が幻種の力を受け継いでいると言う事だ。」
「…おかしい…」
ルナの返答はこれだった。
眉間にシワを寄せながらさらに続ける。
「俺は元々人間だぞ?」
確かに生まれつき吸血鬼という事はある事だが、それは純粋な吸血鬼と吸血鬼が子孫を残した時にしかありえない事であって、ルナの場合は人間の時に細菌が感染して吸血鬼になっている。
また、ルナの血を飲んだ吸血鬼も幻種ではなくただの吸血鬼であった。
さらに現在、純粋な吸血鬼はほとんど死滅しており、今存在する吸血鬼はほとんどが感染によって吸血鬼になったものばかりである。
よってルナが幻種の血を受け継いでいる事はまずないのだ。