月夜に願いを…
「……クーラ…やっと信用できる奴を見つけたと思ったのに…」
ルナは今まで孤独の中で生きてきた。
その為にクーラと言う人物の存在はルナにとっては最高に嬉しかった。
「…」
握りしめた拳からは、一筋の血が流れ落ちた。
一筋はやがて大きな筋に変わった、だがルナが拳を開くと、切れた手のひらは数秒で元の形になった。
「…クソ!」
ルナの深紅の瞳からも一筋の透明な雫が流れ落ちた。
ドクン…
その時、ルナの中に再び抑えきれない欲求が溢れてきた。
「またか…クソ…」
ドクン…ドクン…
『チガホシイ』
「…ダメだ!!」
ルナの目は徐々に理性を失ってきた。
「…クソ!!」
「うわぁぁあ!!」
ルナは理性を失う前に、近くにいた男を襲った。
「何するんだ!?やめろぉ!!」
ルナは、男の叫びに耳を貸さず、一気に喉笛に食らいついた。
「…ああ」
男の叫び声は小さくなっていき、やがて聞こえなくなった。
バタン…
ルナは亡骸になった男を投げ捨てた。
「…」
その場に膝を落とし、大きな声で泣き叫んだ。
「…うわぁぁあああ!!」
満月の夜空にルナの声だけが虚しく響いた。