御主人様のお申し付け通りに
step 4 おまえ次第
…ふかふかぁ~。

…人間の体温は温かいねぇ~。

窓から緩い光がもれるから、少し眩しくて、起きる。

…あっ!

あぁぁーーーっ!!!

し、しまった!

隣りには、裸で寝そべる永田。

私は昨晩、永田に…。

ヤバッ!

もちろん、キスだけのはずだよね?…

私は散らばった下着を慌てて拾おうと、ベッドから離れようとした瞬間。

…ガバッ!

またまた凄い力で、肩を掴まれベッドの中へと引きずり込まれた。

「どこ行くんだ」

片目を眩しそうにつむりながら、ネグセのグチャグチャな髪をした永田が、睨み付けて言う。

「あ、あの、家に戻ります」

恐縮して言う私に一瞬、動きが止まった。

ゲッ…沈黙。

何か、何か新たな事を、考えてない?

「……」

「なっ…永田?」

私の問い掛けを遮るように、両手を上げて、大きな声で背伸びをした。

「んがぁーーーっ!」

なんだ、なんだ?!

私はググッと更に引き寄せられて、抱き締められるのかと思いきや、

「おい、腹減った」

「はいっ?」

私は耳を疑った。

「何か食べさせろ」

永田は布団を、遠慮も恥じらいもなく捲って、そのありさまで起き上がる。

……ムムムッ!ギョヘーーーッ!!!

私は白目を剥いて、後ろへと倒れた。

隠せよー!!

「おい…」

近寄るなー!!

「絶対イヤ!」

着替えながら永田は淡々と言った。

「俺に、絶対イヤだなんて言葉を吐けるとはな…身の程をわきまえろよ」

「うむむ…」

何も言い返せない。

「昨晩は、何度も何度も、おまえのお願いを聞いてやったんだ」

「うむむ…」

気絶したい。

「メシくらい女なんだから、用意できるだろ」

頼み方が、むかつく!

でも確かに昨晩は、私の突発的なワガママを聞き入れてくれた。

冷たく断られるかと思ったのに。

キスだけで、疲れて眠ってしまった私の隣りで、永田は何もしないで、添い寝てくれていた。

ずっと側に居てくれていた。

普通なら、最後までやるとこを。

…なんで?…もしかして、優しさ?

私はチラッと永田を見て、目をそらして仕方なく言った。

「仕方ないか」

ボヤク私に、

「仕方ない?」

ゲッ!…聞こえたみたい。

「いいえ、あの、コンビニ行って来るね」

「コンビニ?」

と、言って永田は溜め息を付いた。

何か文句でも、あんのかよ!

「金は後で払う…さっさと行って来い」

と、頼み事を永田は、ふてくされて言った。

「はいはい…」

鬼畜だ…鬼畜だよ、アイツは。

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