御主人様のお申し付け通りに
まさか、あの怖い顔して、私の手料理が食べたかったって訳は…ないよね?

血の通ってないような冷徹男が、温かなモノを望んでいるようには…思えないでしょ?

コンビニがお似合いだよ、おまえはさ。

私は近くのコンビニで、おにぎりやカップ麺を買う。

永田は、あぁ見えて痩せてるけど、意外と筋肉はあったなぁ~…。

身体も、顔に劣らず、いい身体していたなぁ~…。

よし、たくさん食べそうだから、おにぎりは二個にしてやろう。

はぁ~あ。

性格さへ良ければ、絶対完璧なのにぃ。

優しくないのが、取り柄だなんて…デビルじゃん。

永田のバーカ。

買って帰って、さっそく永田の部屋で食べる。

「ツナマヨとエビマヨと昆布と…」

「よく俺の好みが分かったな」

「適当に買ったんだけどね…」

単純にマジに適当に、自分の食べたいモノを用意したまで。

「おまえはどれ食べる?」

「エビマヨー!」

「じゃあ俺は…」

エビマヨを躊躇いなく取って、さっさと口の中に入れた。

「あぁっ?!何でぇ!!」

私の好みを聞いておいて、食べるとは…。

どういう嫌らしい奴なんだ、コイツ。

信じられない。

そして、ツナマヨを私が食べようと手を伸ばすと、…パシッ!

「痛っ」

手を叩かれて、ツナマヨを横取りされる。

「遠慮したり、譲る事も多少は覚えろよ…」

な、なんだコイツ?!

私はまたしても、目ん玉が飛び出す勢いで驚いた。

「あんたが言うな、あんたが!」

「うるさい、黙れ」

「ムカツクなぁ~!」

「…いいのか、そんな事を俺に言って」

うむむ…。

安い家賃で、住まわしてもらってるから逆らえない。

「ごめんなさーい」

「よろしい」

ガハァ!マジにムカツク!

永田はカップ麺の湯を入れて戻って来た。

「ほらよ。わざわざこの俺が、おまえのために湯を入れてきてやったんだ。今回の事と言い、次は仮を返せよ…」

だからぁ、なんでそんなにひねくれた言い方するんだっての。

「はいはい」

「俺に、二度返事か…」

「いえ、どうも誠に感謝しております」

なんで、この私が。

永田デビルは、私の前にわざと座った。

そして、ジーッと…ジーーーッと。

「な、何?」

私の食べてる口元を見つめている。

「いいや」

「見られてると食べづらいよ…」

「とか言いながら食べるんだろ、おまえは」

そら、食べるわ!

「…カップ麺、うまそうに食うけど、好きなのか?」

「好きだよ、逆に嫌いな人いるの?」

「なんで、好き?」

あ…、頭を傾げた。

今の仕草、何気に好きかも。


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