御主人様のお申し付け通りに
step 6 約束は守れ
翌日は土曜日で休み。

結局ホテルで元旦那と一泊して、喫茶店でモーニングして朝帰り。

3回した。

3回とも、永田の顔でイッた。

私は最後の最後まで、失礼な女だ。

「じゃあな、トシコ。新しい彼氏が出来るまでは、俺がメールで支えてやるからな。人生は一度きりだから、後悔なく頑張るんだぞ」

「あんたは本当に優しい男だったよ~。大好きだよ」

車から降りて、窓越しで話す。

「大好きか。そんな事を言われたら未練残るな…。じゃあな、トシコ」

「うん。あんたも仕事頑張ってね。バイバイ!」

と、手を振って元旦那の車を見送った。

……。

やっぱり、悲しい…寂しい…。

一緒に生活した思い出が、頭の中を駆け巡る。

この選択は正しかったのか、と少しだけ悔やんでしまった。

何だか涙が出ちゃうよ。

ごめんね、大好きだった気持ちは本当だったんだよ。

だけど、自分が少しでも我慢してるのが嫌でたまらなかったの。

指先で溢れる涙をすくってアパートの部屋へと戻る。

眠いから、少し仮眠しよう。

そしたら、心が落ち着くだろうから。

お昼過ぎに、話し声が聞こえて起きる。

窓から、永田の家の玄関を見ると、業者みたいな男と話込んでいる。

もしかして、駐車場にするって件で?

困った顔してる。

なんだ、アイツも本心は、するかしないかで悩んでるんじゃん。

私には偉そうに、駐車場にするだなんて決めたような言い方してさ。

アホか。

私はまた、布団の中に入って眠った。

夕方まで眠って、トイレを借りに永田の家に行く。

「トイレ借りるね~」

いつもなら、イヤミな説教を言うために、部屋から出てくるのに返事すらない。

夜ご飯を食べた後の、トイレに行っても、私の姿を見ても無視。

お風呂の時間に、お風呂に行っても一言も話し掛けてこないで、また無視。
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