御主人様のお申し付け通りに
狂ってる、完全に狂ってるよ。

「やだ、私。あんたとは住まない」

「いいや、おまえは俺としか、もう住む場所はないんだよ」

……ズキッ……

心臓が痛くなって、縮まった。

「15分でシャワー浴びて、裸で戻って来い。いいな、時間厳守だ。早く行け!」

洗礼って、何なの?

まさか、やるのか?

ってかさ、アイツやりたいだけじゃないの?

私の事、好きなんじゃないの?

アイツ…。

だからやたらと、一緒に住め住めって言ってくんじゃないの?

寂しいとか、癒して欲しいとか思ってんじゃないの?

この私に!

ワガママ言える相手が欲しいんじゃないの?

甘えるなって言って、永田が甘えん坊なんじゃないの?

…ったく、仕方ない男だね。

私はシャワーを浴びながら、

「洗礼だってさ、アホか」

独り言を言って、笑った。

アハハ☆

「受けてやろうじゃんよ、永田の洗礼とやらを」

私は身体を念入りに洗った。

バスタオルを巻いて部屋に入る。

永田はカーテンを閉めて、腕組みをしてキツイ目をする。

「とりあえずキスしろ」

命令口調で、偉そうに言う。

キスしたいって普通に言えっての。

私はニヤニヤしながら永田に近寄った。

「このキスで、もう前の旦那には会わないって絶対誓うよ」

私は見上げて言った。

「次、約束やぶったらどうする?」

永田の問い掛けに、

「ブッ飛ばしていいよ」

先に言ってやる。

「ニヤニヤしやがって、イラつくんだよ」

そう言って永田はグッと肩を引き寄せて、私の口唇を激しく塞いだ。

舌が口の中を激しく掻き回して、歯茎も口裏もしっかりナメられてる。

「んぅぅ…」

ダメだ…やっぱり…コイツのキス…

私は片目をうっすら開けると、永田はすっごいキモチよさそうな顔していた。

「っう…ん…」

溶ける…足がもう…力が入らない。

よろけそうになると、

「ええっ!な、何!?…」

私をまたグイッと、まさかのお姫様抱っこ?!

で、ドカッ!…

ベッドへと投げ捨てやがった、コイツ!

「痛いじゃんよ!」

永田は横たわる私に馬乗りをして、姿勢を低くする。

そして、私の耳元で言った。

「俺の洗礼は格別痛い。だから何度も言ってんだろ?なめた扱いすると、一気に痛い所へ落ちるって…な?」

な?…だってよ。

やりたいだけじゃん。



< 33 / 92 >

この作品をシェア

pagetop