御主人様のお申し付け通りに
時々アパートの中にも、永田は入ってくる。

仕事帰りに私の部屋に寄って、

「何となく来た」

とか言われて部屋に入れると、私の食べ掛けの夕飯をつまみ食いをする。

「まじぃ」

「毎回言うな、この野郎が」

次の日が二人一緒の休みだと、私の布団で二人でそのまま眠りに付いてしまう。

その時も、思うの。

優しいな…って。

だってね、何気に腕枕してくれるの。

意外とずっとは痛いのに、それが朝まで腕枕してくれるの。

だから思わず口走る。

「永田っ…好き…」

自然と嬉しくて言葉に出ちゃう。

「…ふぅ~ん、あっそ」

冷たい返し。

軽々しく「好きや愛してる」とは言ってはくれない。

「恥ずかしいの?」

「いいや」

あっ…、また照れてる。

「永田も好きって言ってみて?」

言わせてみたくて聞いてみる。

すると、ジーッとしばらく見て、

「やだ」

と、あっさりソッポを向けられる。

「ニャーーッ!!」

私は布団の中で、暴れてやるんだけど。

「こら!埃が舞う!」

と、やや怒られる。

だから、また小さくなって永田の素肌の胸に頬ずりをして。

…チュッ…

「あっ…やめろっての」

感じちゃう?

永田、乳首弱いみたい。

「おもろーい☆」

そしてまた、永田にくるまる。

「なぁ、おまえ。荷物そろそろ片しておけよ。要る荷物を、まとめといてくれたら俺が運ぶし。要らないモノは、リサイクルかなんかに売り飛ばしてさぁ、いい加減さっさと捨てろ」

「うん…」

永田ぁ…好き好き…。

「それから引っ越してきたら、おまえが住む部屋は、当然ながら俺の部屋だから」

な、なぬっ!?

「えー!何で。だって一軒家で、たくさん部屋があるじゃんよぉ!」

自分のプライベートルームは!?

「掃除が大変になるから、使ってる部屋だけで使う。だから俺の部屋!」

「一軒家の意味なーい!」

「うるせーな、逆らうな」

逆らうな!だってさ。

キュンとなるのも変だけど。

一応、膨れっ面して。

ま、いっか。


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