御主人様のお申し付け通りに
step 2 俺の言う通りにしろ
お風呂に入りたい。

けど、お風呂に入る前にウダウダと何か言われたら。

嫌だな…。

でも、エチケットとしてモラルとして、女だから余計に、お風呂には絶対入らなければいけない。

嫌だな…。

近くに銭湯はあるけど、スーパー銭湯だから一回で600円は取られる。

そんな毎日なんて無理だもん。

やむを得ず。

永田の家の裏手にある、私専用の扉から入る。

そこは風呂場が入ってすぐの場所にあるから、そこで早々と脱衣して風呂場に入る。

さっぶ~っ。

やっぱり夜はまだ冷えるわ。

永田も一人だからか、お湯炊きのできる浴槽にも関わらず、湯を溜める事なく、シャワーで済ましているようで。

私もシャワーで済ます。

シャンプーもボディソープも、ここの備え付けで洗う。

♪フン♪フン♪フン~♪

♪ラン♪ラン♪ララン~♪

気持ち良すぎて、鼻歌を唄っていると。

…ガタッガタッ!

ええっ!!?

私は慌てて振り返ると。

ウゲッ!出た!!永田!!

しかも堂々と全裸のフル●ンで登場。

「キャー!!ちょっとー!今、私が入浴中なんですけど!」

「……」

眉間にシワを寄せて、どけ!と言わんばかりに私からシャワーを奪い取る。

「俺の家だ、そんなもん、知るか」

「だからって、いい加減にしてよ」

私は身体を隠しながら、渋々出て行こうとすると、

「どこ行くんだ?」

「あんたが入ってきたから、出てくんだよ!バカ!」

「これ、渡すから」

と、私にスポンジを差し出す。

「あぁっ?!」

私がキレて睨み付けると、

「俺の背中を洗えよ、ブス」

「嫌です」

ブスだとか言う奴に、何で私が!

「俺の言う通りにしろ」

「嫌だ」

「自分の首、締める事になるぞ」

うぬっ!…全然、意味が分からないけど。

その言葉にドキリとする私。

永田は私に背を向ける。

旦那の背中だって、こんな洗ってやる事なんてしなかったのに。

コイツの言いなりが、悔しい。

スポンジで憎しみを込めて、ゴシゴシ洗う。

一体どんな関係なの、私たちは。

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