御主人様のお申し付け通りに
「すぐバレちゃうな、全く」

「やっぱりねぇ。だって笑顔が耐えないんだもん」

「よかったね。新しい恋で、早く昔の事は忘れなさい」

「はぁーい」

このオバチャン達は、やっぱり普通のその辺りに居る世間体を気にするオバチャン達とは違うな。

強い!強過ぎる!

そして、今日は仕事中にまた永田のお爺さんが、顔を出しにやって来た。

「ヤッホー☆」

「ヤッホー☆」

って、返しちゃうから気を付けなきゃ。

一応、お客様だから。

「やっぱり駐車場にするってな」

「はい」

「で、どうした?うちの孫と住むのか?」

このエロジジイ。

なんて、いやらしい目付き。

「はい」

「ウヒョーッ、いいねいいね」

何、この反応。

露骨に嬉しそう。

「永田さんとお付き合いする事になったもんだから、一緒に住む事にしたんです」

はっきり言ってやった。

だって、赤の他人同士の男と女が、同じ一軒家に住む事がおかしいでしょ。

「うんうん。で、どっちから?」

いやらしいなぁ~、本当に。

「もちろん永田さんからです」

白々しく、有ること無いこと言ってやる。

「あの子は積極的じゃからな」

そうそう、積極的。

鬼畜なまでに、無理矢理ね。

洗礼だとか訳分かんない御託並べて、自分の思い通りにならないと、毒を吐く不器用な男。

「そうかそうか、じゃああの子の事はよろしく頼んだよ」

頼まれても…。

「あの子は寂しがり屋で甘えん坊じゃからね」

そうは思えんな。

「でも宝物は大切にする子じゃからね。またな」

と、お爺さんは手を振って去って行った。

なんだ、それ。

私は何にも言ってない。

この先の事なんて断言できない。

自由と孤独を選択した私には、誰かと一緒に居て幸せになれるかだなんて、断言できない。

他人のために自分を変えるだなんて、私には難しい事。

自分の中の自分は、消す事ができない。

それを許してくれる相手じゃなきゃ、一緒には長く居られない。

だから、永田ともこの先にずっと一緒に居られるかだなんて…。

正直…。
< 41 / 92 >

この作品をシェア

pagetop