御主人様のお申し付け通りに
「トシコ…俺…予想外に…おまえに…本気みたい…」

へっ?

永田は身体を揺らしながら、独り言みたいに優しい口調で言った。

「束縛するけど…優しくするから…許してくれよな…」

ドキッ…。

今の言葉で私ってば、凄くドキドキしてる。

「なんだよ」

「今の、永田らしくない」

「俺らしくないとは、侵害」

私は鼻を摘ままれた。

ほらまた、永田らしくない優しい笑顔。

「あんたの笑ってる顔って、不自然」

私も永田の頬を摘まんだ。

「…う~ん…もう、はっきりこれからは言わせてもらうわ…愛してるってな」

「…ビックリ!」

「…ビックリか?」

永田は私の横髪の先をクルクルと巻きながら、言った。

「おまえ可愛いからさ、心配になるんだよ…」

「ブスって言った癖に!」

「ブスにブスだなんて言えないだろ、普通は。俺さ、ずっとおまえを自分のモノにしたくてさぁ…う~ん…意地悪してた」

「何それ、とんだ嘘つき」

…チュッ…

「ごめん」

永田は私の目をずっと見つめたまま、しばらく黙っていた。

どうしよう…。

こんな私に謝るだなんて。

本当にこの人、マジなんだ。

結婚する前に、元旦那が私に見せた時と、同じ目をして私を見ているから。

マジなんだ。

…でも私は、再婚なんてしない。

本気で愛せるかどうかも、不安だから。

永田、マジかよ!?
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