御主人様のお申し付け通りに
「永田さんって、はっきり言って変態ですよね?常識ないって言うか…」

「……」

おい、何か答えろや。

「私に何を求めてるんですか?」

「……」

おい、ガン無視かよ。

「ペットだとか言って、私、一応、女性ですよ?入浴中に勝手に入ってきて…」

「……」

だから、何か言ってみろ。

「色々と説教してきますけど、色気は人によって、出す時と出さない時があるんですよぉ、私は」

「……」

私はチラッと永田の顔を見ると、明らかに視線をそらされた。

見る見るうちに、泡だらになって、やがて私は彼と向き合っていた。

胸から腹部に掛けて洗ってあげて、さすがにその下は勘弁して欲しいから、手を止めた。

「後はもう自分で洗って下さい」

私も視線をそらした。

だって、その、なんつーか…アレが、明らかに視界に入るから…。

私は視線を、天井へとそらした。

ってか、やっぱり恥ずかしい。

私ってば、急にドキドキしてきた。

「てめぇ、何してくれんだ」

「はぁ?!」

私は彼の静かに吐き捨てる暴言に、思わず顔を歪ませた。

「どうしてくれんだ、これ」

自分のを指差しするなっての!

知らんし!!

って、何で私を責める!

「いやらしい女だな、おまえって。この俺をこんな姿にしやがって」

逃げようとする私の腕を、強く掴んで永田は睨み付けながら言った。

「ってのは、冗談として。ったく、てめぇは。最後まで言われた通りに、きちんと洗えよ、バーカ」

「む、むかつく!」

片方の手で私の両頬を、ガバッと鷲掴む。

「逆らうと、自分の首を締める事になるぞ?」

「はひ、はひ…」

強引過ぎる!

脅しかよ!

仕方なく言われた通りにする。

「洗い方が、うまいじゃねぇか。いっそヘルスで稼いだらどうだ」

「ふざけないで!嫌々やってんの私は!」

私は視線をそらしたまま、ふてくされた。

「見上げろよ」

「嫌なこった」

「俺の言う通りにしろ、トシコ」

…!
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