御主人様のお申し付け通りに
いいの、いいの。

永田にだったら、どんなふうに言われても。

いいの、いいの。

永田にだったら、どんな扱いされたって。

いいの、いいの。

自分の理想なんて崩れて、無くなったとしても、私が私らしく居られるならば。

その居場所が、心地よくて、優しくて、温かくて、大きくて、深くて、広ければ。

私はその中で、自由に過ごすから。

私は永田の作ってくれた、永田の場所で、永田に合わせて変化していくから。

手を繋いで、近所の通りを堂々と歩く。

あのイヤミなオバサンと出くわした時にも、永田は声を掛けて、

「こんにちは、オバサン。来月から彼女が僕の妻になるんで紹介しときます」

「こんにちは、あれれ?決まったのかい?」

「はい、トシコって言います」

私は頭を下げて、

「よろしくお願いします」

「この辺りの地域の事も、あまり把握してませんので、ビシバシ鍛えてやって下さい」

「いやいや、そんなねぇ」

イヤミなオバサンは、永田の事が気に入ってるみたい。

全然、態度が違っていた。

「挨拶は、いつでも誰にでも出来るように、僕も躾ておきますので、よろしく頼みますね」

「まぁね、最初が何でも肝心だから。意地悪して、どんな肝か試して悪かったね」

試されてたんかい!!

あっ…でも、そう言えば永田にも同じ言葉を言われたっけ。

意地悪して試してた…か。
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