御主人様のお申し付け通りに
「永田、あんた凄いね」

「えっ?」

「意外と演技派ってやつ?…嘘つくのうまいねぇ~」

「別に演技でも嘘でもないし。俺は思った事しか口には出さない」

あぁ、そうかい。

私は何度も永田を見上げながら、目が合う度にニヤニヤしていた。

「ちなみに、俺の親はあのオバサンよりも更に厳しいからな」

「ゲゲゲッ…鬼畜の親も、やっぱり鬼畜か…」

「こぉら、そんな言い方はダメだろ?」

あちゃ、怒られた。

「ごめんちゃーい」

「大丈夫だ。ちゃんと俺が守ってやるから、心配するなよ」

私は嬉しくて、永田の腕に巻き付いた。

「もぉ、もぉ~…大好きだよぉ~…」

本当に守ってくれるんだなぁって。

安心する。

私は永田の奥様になる。

私は永田の宝物なの。

きちんと出来た時は、激甘で誉めくれて。

ちゃんと出来なかった時は、すぐに叱ってくれる。

他には?

他にはどんなふうに、私を磨いて変えてくれるの?

自然に永田に溶け込んでいく私は、前よりも今よりも、どんどん自然に変わっていく…。

「なんだよ、さっきから…ったく、そんな目で見るなよ…しょうがねぇな…愛してるよ、トシコ…」

…チュッ…

私は永田に束縛される人生を歩むよ…。

バイバイ…今までの私…。

これからは、普通の女の子になるよ私…。



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