御主人様のお申し付け通りに
急に俺のが緊張してきた。

キスする口唇が震えてしまった。

「おめでとうございます」

二人一緒に振り返ると、トシコは一気に涙を流した。

「大丈夫か?」

「…うん…嬉しくって…」

落ち着きなかったのは、嬉しさを隠していたのか。

全く、どこをどうやっても裏腹な事を、正直にやるもんだから…可愛いじゃねぇか、クソッ。

コイツは、本当に意味分かんないから、もっともっと知りたくなるな。

調教しがいがある。

スーパーのババアたちの気持ちが、俺にはよく分かったよ。

おまえは自分の言葉とは裏腹で。

他人の言葉で束縛されてもいい。

他人のために犠牲になってもいい。

安請け合いはしない。

誰にでもじゃなく。

信じられる他人のためだけには、おまえは自分の意思すらも、削ってやれるんだって。

どんな言葉でも、素直に聞き入れてしまう強さを持っている。

おまえと俺は、そんな所を他人に隠して生きている所が似ているのかも知れないな。

だけどな、トシコ。

約束するよ。

束縛するけど、おまえだけ特別に優しくするから、許してくれ。

俺の可愛いトシコちゃん☆


《完》
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