いつか きっと…
声のする方に視線を向けると、心配そうな顔が私を見つめていた。
「うん…大丈夫。 でも、こんなに走ったの初めてかもっ……。」
まだ苦しくて、それだけ答えるのがやっとだった。
「ケガとかしてない?」
困ったような顔でさらに聞き返してくる。
「ちょっと走り疲れただけ。あの…助けてくれて、本当ありがとうございました。」
「いや…助けたっていうか、逃げ出しただけだけどなっ。」
その人は、そう言って、ちょっと照れたように笑って見せた。
この人…笑うと子供みたい。
恥ずかしそうに顔に手を当てた仕草が、何だか可愛らしかった。