いつか きっと…

「ちょっと…ケガしてる!」


遥希に走り寄ると、慌ててバックからハンカチを取り出し、遥希の血で赤く染まった左手を押さえた。


よく見れば左の瞼の上にも、小さな擦り傷があるし、口の横にも殴られたような痣ができていた。



「必死で走ってたから、気がつかなかった…。」



遥希はそう言って、驚きと恥ずかしさが入り混じったような顔で笑った。



遥希の傷は、明らかにあのナイフで切られたものだった。


左の手のひらが四センチ程、一直線に切られ、まるで口を開けたような傷口からは生暖かく艶やかな赤い血が流れだす。



「これ…病院行かなくちゃダメだよ。」



私は完全に動揺していた。




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