いつか きっと…
「傷…結構深いみたい。病院行かないと。」
思い切って出した言葉は、小さな囁きのようだった。
「あのさぁ…、病院行ったら何すんのかな…?」
「えっ…。たぶん、何針か縫うとは思う。」
「だよな…。」
遥希はじっと自分の手を見つめながらボソッと呟く。
「俺さぁ、病院…苦手なんだよね。」
そう言った遥希の顔を、思わずまじまじの見つめてしまう。
眉間にシワを寄せて真剣な顔で見つめ返す瞳が、その言葉が冗談ではない事を物語っているようだった。
さっきまでの、どこか強気な青年の発したセリフとは思えない。
さらに困った顔で見つめ返してくる遥希。
2人の間に一瞬だけ沈黙が流れたあと、
私は笑いをこらえることができなかった。