いつか きっと…
「絶対、笑われると思ってた…。」
少し拗ねたように投げやりな言葉。
慌てて『ゴメンなさい。」と言いながらも、私の笑いは止まらない。
「本当ごめんなさい。でも、遥希くん可愛かったから。」
「いいけどさっ。てか、まだ笑ってるし…。」
「ごめんって。もう笑わない。」
「もういいよ。でもさ、病院行きたくねぇなぁ…。」
子犬のような黒い瞳が、睫毛の奥で訴えかけてくる。
「じゃあ、明日まで様子見る?
それで、大丈夫そうなら病院は行かない。」
「本当に?」
「うん。でも、今日病院に行かないなら、せめてちゃんと消毒しないと。」
私はそう言うと、赤く腫れ始めている傷にもう一度視線を落とした。
───誰が見ても、ほっておける怪我ではなかった。