クレナイの歌
それからまた一週間が経った。
彼女と会話をすることもなく、ただ暮れてく帰り道にその姿を見かけるだけだった。

気づけば同じ教室内にいる間にも、彼女を瞳で追っていた。
互いに目を合わせることもなく。

彼女の名前は朱里というらしい。



そしてさらに数日後が過ぎた頃、少し仲の良くなったクラスメイトに彼女について尋ねてみた。


「あー、あいつのこと?」

「ああ」

頷く。友人がにやりと口角を上げる。

「気になるの?え、なに恋煩い?」

「うるさい」

「否定しないの?」

友人の目が丸くなる。

彼女の事を教えてもらいたくて聞いたのに、何故 今自分が問われているのか。

少し返答が面倒になってきた。


「……知らない」

「へ、へえ……」


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