恋色電車
さっきまで、電車に乗っていたサラリーマンが降りる。
その時に
なんとか電車に取り込もうとしているおばあさんとぶつかった。
悪いのはサラリーマンの方なのに、
どちらかと言えば鬱陶しそうにおばあさんを見た。
それに対しておばあさんは「すいませんねぇ」の一言。
私もいい加減、頭にきてサラリーマンに文句をつけようとした。
「あの・・・」
食い気味で放った私の言葉は、別の声と重なる。
「あんたさ、被害者みたいな顔してるけど、悪いのあんただから」
そう言ったのが神谷さんだった。