恋色電車




「だってもったいないじゃないですか!」




自分でも思っていた以上に大きな声になる。





「ごめんなさい、大きな声出しちゃって」





「全然いいよ」




「私がその人からもらったのってそれだけなんです」




そう、この2つだけ。




「あの人がどういう気持ちで私にくれたかなんて、分かんないですけどね」




「・・・・・。」






「それでも嬉しかったから。」





きっとあの人は、私が初めて飴をもらったときの気持ちなんて知らない。





すっごくすっごく、嬉しかったんだよ。
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