恋色電車
そんな私を察してか、店長が言葉を続ける。
「羽生みたいなイケメンが、自分の近くにいてときめかない人がいないと思う?」
「・・・いいえ」
「でしょ?愛衣もそれだと思うよ」
あ、店長の言いたいこと分かった気がする。
「つまり、羽生にドキドキしたのは自然なことで、その電車の人に対する感情とは別なものだと思う」
グビッとビールを飲んだ店長がそう言い切る。
羽生さんにドキドキするのは、
好きだからじゃない。
緊張しているからなんだ。