犬系な彼の飼い主はじめました!?
よく見ると1号が美味しそうにご飯を食べていた。
「早馬くん、帰ってなかったんだ」
「奈田こそ」
そこで橋の下に行って傘をしまう。
1号をゆっくり撫でた。
「ふわふわしてるっしょ」
ニィっと笑う早馬くん。
「ほんと、かわいいね」
1号は満足げに小さく鳴いた。
「…奈田」
「ん?」
ポケットに手を突っ込んで言う。
「ごめん、な」
……なんで早馬くんが謝るの?
「健祐から聞いた。なんか勝手に決めちってさ。嫌だったろ」
「ぜ、全然!嫌なんかじゃないよ…うん」
早馬くんが苦手じゃない。嫌いじゃない。
「こっちこそ、ごめんなさい」
「なんで奈田が謝って…」
お互いにおんなじようなことをして笑ってしまう。
「奈田」
「ん?」
「俺、奈田と友達になれそ」
そう言って手をこちらに差し伸べる。
友達………くらいなら。
「よろしくね」
小さくその手を握った。