犬系な彼の飼い主はじめました!?
「俺は奈田ちゃんのことが可愛いと思ってる。妹みたいな存在で、一緒にいて楽しかったから」
先輩まで─────
「そういうの、いらないです」
「…」
「もう、いいから。」
すみません、先に行きます。
そう言った時だった。
後ろで何気ない会話が聞こえた。
「早馬彼女にふられてガチへこみらしいじゃん」
「奈田だっけ?4月からずっと『可愛くね?』ってさぁ」
「…まぁ確かに言われてみれば、可愛いかなってちょっと思ったんだけど」
「えー、嘘だぁ」
私が後ろを向いてたから気付かれなかったのか。
その声は遠退いていく。
「………奈田ちゃんにはいるんだよ」
兼原先輩の手のひらが、私の頭に乗ったのがわかる。
「もっとあったかいもの」
『あったかいもの』……