モン・トレゾール
第2話
*
先が見えないほどに淡い白い長い道――
さっきまで腕の中に居た彼女が、どんどん遠くへいってしまう。
必死で追いつこうとして手を伸ばしても、彼女に寄り添いその肩を抱くのは俺じゃない。
それに落胆した俺は、その場に立ち尽くしただ二人の影をずっと追うだけだ。
……そして、必ずと言っていいほどここで目が覚める。
悪夢のようで現実に近い夢。
――夢の中の彼女はあの日のままだ
「……寝てる、な」
いつもこの夢をみた後は、いつかの日のように彼女そのものが消えてしまってうのではないかと不安になる。
体を起こした弾みでベッドサイドから落ちた電話がチラチラと青く光る。
まだ熱が冷めないシーツを滑らすと、俺はガウンを羽織った。
彼女を起こさないようにと細心の注意を払いながら。