きみと繰り返す、あの夏の世界
【XI】分かち合って
──ああ、癒される。
日陰が多く、少し涼しい体育館裏。
そこに、しゃがみ込む私と水樹先輩の足元には3匹の子猫。
ミルクをたらふく飲んで満たされた子猫たちは、現在、私のスマホについているストラップと絶賛戯れ中だ。
といっても、まだ人に慣れていないので、興味津々な様子で揺れるストラップを眺めているだけなんだけど。
でも、手を出したそうにウズウズしているのがまた愛らしい。
「可愛いですね、この子達」
自然と頬を綻ばせながら隣でしゃがんでる水樹先輩に話しかけた……のだけど。
「…………」
なぜか、水樹先輩は、目を細めて私を見つめていた。
「あ、あの、先輩?」
私の顔に何かついてるんだろうか。
目の前の猫ちゃんたちよりも興味が沸くような何かが。
だとしたら恥ずかしい。
というか、水樹先輩に見つめられること自体、恥ずかしいというか照れてしまう。
だから、当然私の頬が熱を帯びるわけで。