きみと繰り返す、あの夏の世界
【XIII】大事な何か
シンと静まり返った夜の学園は、昼間とはまた違う雰囲気を醸し出している。
そこに、こっそりと忍び込んだ私たち生徒会メンバーは、現在、慣れ親しんだ生徒会室に集まっていた。
見つかった時の言い訳がしやすいようにと、みんな制服で来ている。
いつもはどこからか聞こえる生徒の賑やかな声も今は聞こえない。
代わりに聞こえるのは、口笛のような鳥の高い鳴き声だけだ。
その声に、会長の小さな声が重なる。
「で、集まったわけだけど……」
これからの予定を口にするつもりだったのだろう。
けれど、会長の話は、三重野先輩の「その前に」という声によって遮られた。
「不法侵入になったら生徒会として示しがつかないので、緊急の仕事ということで許可を取っておきました」
あ……そういうこと。
門が開いたままだったのは連絡が行ってたからなのね。